子供時代のルディ1

 ルディが来てからの我が家の生活は一変した。妻と話す会話はほとんどがルディの事であり、ルディのことが話し合われない日はない。

 ルディが我が家に来て一ヶ月ほどしてから、しばらくルディと別れなければならなくなった。ゴールデンウイークに二人でメキシコに旅行することになっていたからである。

 まだ狂犬病などの予防注射もしてないので、ペットホテルなどに預けることが出来ない。それよりもあまりに寂しがり屋のルディを二週間も一人にすることは出来ないことがわかっていたからである。


 ルディは昼間、少しでもはるみの居所が分からなくなると、狭い部屋を走り回って探しているらしい。時々部屋でかくれんぼをして遊んでやっているらしいが、逃げ回っているうちにルディがまだ登ることの出来ないベッドに布団をかぶって隠れてしまうと、最後は本当にいなくなったのかと思いキューン、キューンと泣き出していしまうらしい。

 部屋のフローリングの上を慌てて走りまわるルディの爪のコツコツコツ、コツコツコツと言う音と、寂しそうなキューン、キューンと言う泣き声を聞くと、毎日の買い物の留守番さえもさせられないと思えるそうである。


 旅行を中止しようかとの案も出たが、何らかの解決策を見つけておかないと一生旅行が出来なくなってしまう。


 ルディの母親のナナの所、すなわち叔母の所で預かってもらうことにした。母親の免疫を受け継いでいるので、母親と過ごす分には病気の心配はないからである。そのために旅行の前日、妻のはるみが岡山まで日帰りで届けることにした。


 初めてのルディの里帰りは叔母一家の心からの歓迎にあったようである。