スペインでの初めてのラグビーの試合

 スペインに移住したのは2004年12月20日です。ラグビーをしたかったので、トレーニングをしようと思いましたが、20年間のブランクで想像以上に筋肉が衰えていて、ジョギングさえ満足にできず、歩くことから始めました。4ヶ月ほどはバルセロナに住んでいたので、バルセロナの家の周辺を歩き回りました。そしてシッチェスに移ってからはランニングを始め、ラグビー向けの走り方(トップスピードで走る)を加えました。


 シッチェス ラグビークラブを見つけ、ベテランチーム(35歳以上)の練習に初めて参加したのは2005年の12月初めでした。20年ぶりに触ったラグビーボールはなんと滑り止めに丸い小さな突起があるゴムのような感触のもので、初めてパスをするとボールがクルクルまわって初心者と思われてしまいました。

 それから2006年4月8日に初めて試合をするまで、練習は3回あっただけで、4ヶ月の間でボールに触ったのは最初の日を含め4回だけでした。


初めての試合

 グランドはブッシュの中にあり、砂のグランドです。 


 シッチェスのラグビーの中心選手は主にイギリス人とフランス人で、ベテランチームのキャプテンはフォワードのカール(イギリス人)、バックスリーダーはセンターのフィリップ(フランス人)で、フィリップは私が60歳だと知り、「60歳で35歳以上のチームでプレーできるのは素晴らしい」と言って、ぜひ試合に出るようにと言ってくれました。

 フィリップはラグビーもよく知っており、練習で私のパスを見ただけで(この時には普通の合成皮革のラグビーボールでした)もうある程度のラグビーの経験者であることを見抜いたみたいです。


 試合の当日には16名ほど集まっていたので、はるみがラグビーの試合に出ることに反対していたのと、先にメンバーになっていた人がゲームに出た方が良いとの思いもあったので、ラグビーボールに触りたかったので試合前の練習だけ一緒にしました。


 ところが後半になってすぐ、フィリップが突然、疲れたから私に代わるように言って、グランドから出てしまいました。私はセンターが専門なので、フィリップの後に入ろうとすると、もう他の選手がセンターをしたいと言ってポジションについていたので、左のウイングに入りました。

 終わり頃になってまだボールにも触っていないし、汗もかいていないので、ボールに絡むことにして、ラックの時、センターの位置に入りパスをしたら2回とも私のパスを受けた選手がトライをすることになってしまいました。


 これは私のボールを受ける位置が普通の選手よりだいぶ前(相手側)で、受けた瞬間には自分の前の選手を横にはずしていて、走りこんでくる外側の選手のスピードに合わせてボールを投げるので、走りこんだ選手がトップスピードでボールを受けることになり、相手のカバーディフェンスが間に合わないためですが、他の選手にはただパスをしただけに見えたみたいです。


 一人だけ私のプレーを見抜いた選手がいます。クラブの副会長で、自身もFWの選手で試合に出ていたラモンです。ラモンは「Yujiはすごい、2回ボールに触っただけで、2回ともトライに結びつけた」と言ってくれたのですが、他のメンバーはたまたま偶然にトライになっただけだと思っているみたいです。


 ラグビーの経験者であることをわかってもらえるまで時間がかかりそうです。