星名理論と岡理論 8 10人スクラム

 岡先生は前提となっている常識みたいなものさえ疑って、既成の枠にこだわらない、自由な発想を持っておられたように感じました。岡仁詩先生の自由な発想などは星名秦先生の影響が大きかったと思います。

 岡先生講演録「教わり、教え、教えられ」では次のように書いておられます。

自分で考え、責任を持つ

 この星名先生の教え通り、大学選手権の準々決勝の日大戦では同志社は10人でスクラムを組みました。「ラグビーはFW戦に勝たなければ試合に勝つことはできない」と考えていた岡先生はFWの特に、スクラムの強化に力を入れておられました。この年もFWは決して弱くはなかったのですが、当時の秩父宮ラグビー場ローム層の上に芝が貼ってあり、いつも正月は芝が剥がれていたり、霜柱が立ち、昼過ぎにはそれが溶けて、上滑りして、それに慣れていない関西のチームは特に、スクラムでは強みを出すことができませんでした。

 3年日大戦、写真 渡辺トライ

     中央で立っているのが私です。

  FW戦が対等ではダメで、最後は特にスクラムで圧倒するために、マイボールのアタックの時は10人でスクラムを押し続けました。前半の同志社大学ははそれでもFW戦で優位に立てず、リードされていましたが、後半になり、10人で押し続けた効果が出て、最後はFW戦も圧倒、逆転勝ちしました。