練習開始に集まった選手は3人

 2006年9月 カデテスのコーチ就任にあたり、私はヘッドコーチのシャンティに英語でメールを送りました。


 子供達は数人(アイルランド人、イギリス人)は完璧に英語を話しますが、ほとんどはスペイン語とカタラン語で、私はスペイン語はほとんど話せませんでした。シャンティはあまり英語が得意でないし、また他の二人のコーチはほとんど英語を話しません。

 そのためスタートする前に、どのようなコーチングをしたら良いのか、ラグビーに対する考え方、コーチングの仕方等自分の考えをまとめて擦り合わせをしたかったからです。

良くある事ですが、複数のコーチが教える時、考え方、話す言葉等を事前に良く打ち合わせして統一しておかないと、同じ事を違う言葉で伝えると、選手が迷う時があります。


 同志社ニュージーランドからFWコーチにホクリーさんを迎え、初めて日本にモールの技術を持ち込んだ時、岡先生は使う言葉を決めました。それまでの寝こんで重なりあうラックから、立って歩きながら押し込んでいくモールに、後から参加する選手に「突っ込め」と指示するOBに「モールに入れ」「足を前に動かせ」と言う様に徹底しました。寝こんで重なりなっているラックに姿勢を低くして突っ込めと言われると、「飛び込む」様な意識になってしまい、突っ込んだ時点で終わってしまいます。しかしモールは立って押し合うので、足を前に動かさないと前に進みません。同じ人数で押し合っているのなら一人でも足を前に動かせようとする選手が多い方がモールを押し込めます。


 シャンティからはなかなか返事がないので、グランドであった時に聞いた所、「素晴らしい考え方だ」と言ったきりでした。別に怒っている訳でもないし、真面目な素晴らしい男である事は分かっていたので、私の英語がまずく、うまく理解できなかったのかなと思っていました。

 練習が続いていくとその理由が分かりました。そのようなラグビー理論を伝えるほどのレベルではないと思っていたのでしょう。数回目の練習には時間までに来たのは3名でした。

 それでも遅れて来た数名と、下のクラスの練習が終わって、カデテスの練習に参加した選手10名ほどでいつも通り練習を行いました。


 これではラグビーにならないので、シッチェスラグビークラブとして全員でもっと選手をリクルートする事にしました。