カデテス初めての勝利

 2006年10月、パスもできず、ルールもあまり理解していない新人を入れないと15人集まらないこの時期に何故か練習試合が毎週あり、大敗を繰り返していたのですが、やっと22日の日曜日にスコットランドのチームに10対7で勝つことが出来ました。


 19日の木曜日にはスコットランドの別のチームに大敗しましたが、同じ年齢とは思えないほど体格や走力で差があり、いろいろな面で違っていました。

まず、ラグビーでは当然だと思うのですが、スコットランドは試合前からキャプテンが全てをリードして、準備体操から試合まで整然と進んでいき、試合終了までほとんどコーチの声は聞くことはありませんでした。


 対するシッチェスはコーチが指示しないと練習も始まらず、試合中もコーチやOBがライン横からいろいろ指示を出し、選手同士もいろいろ声(非難?)を出し合って非常にうるさく、まったくまとまりがとれていませんでした。

 ルールも知らず、どこに立って良いのか分からない選手もいるのでこれもやむをえないのかもしれません。


 22日のスコットランドのチームは体格や走力が同じようなものだったので頑張りました。やはりラグビーの国とサッカーの国の違いの様に、相手の方がラグビーのチームとしてはまとまっており、チームとしての完成度も相手の方が上の様に感じました。しかしシッチェスも懸命に頑張ったので、なかなか相手の得点を許しませんでした。

 相手チームにはバランスを突き崩すほど突出して選手はいませんでしたが、シッチェスにはトムと言う怪物いました。一つのチャンスで相手のゴールラインへ運ぶ力を持っており、また相手陣でのペナルティはほとんど決める力を持っています。


 私が一度彼にアドバイスをした事があります。彼はスタンドオフですがボールを受けるとすぐパスをせずにボールを持って少し前に走ってからパスをします。ゲームになると受けるとすぐパスをするのに練習中は前に少し走るので、「ゲームと同じ様に受けるとすぐパスをしてフォローしてもう一度パスをもらえ、練習とゲームと違う走りをすると他の選手が混乱する」と言うと、即座に「自分がすぐパスをすると、自分のマークの選手が次の選手に向かって走り出す。だから自分の方に走ってこさせるために前にでる」と答えました。

 「分かった。ではゲームではまず最初は受けたらすぐパスをしてフォローしろ。そして次に相手が次の選手に向かって走り出すようであれば、今度はパスをするような振りをして前へ走れ、そうすれば簡単に抜ける」と言うと、しばらく考えて「分かった」と答えました。


 いつも彼はコーチが何か指示してもあれこれ反論してなかなか納得しません。ところがすぐ納得し、次には私がイメージしている通りのプレーをしてみせました。

 これには私の方がビックリしました。彼は今までのコーチの指示には納得できていなかっただけで別に反抗していた訳ではなかったのです。選手の数が少なく、練習ではディフェンスがいないのでただフォーメーションのパスを回す練習をしているだけかと思うと、彼はちゃんと相手のディフェンスをイメージしながら練習していた訳です。


 私が彼にアドバイスをしたのはこの時だけです。改めて彼の練習での動きを見ると全て何かをイメージし、意図を持ってプレーしていました。


 もしかしたら教えてもらったのは私の方かも!