星名理論と岡理論 15 岡先生の指導方針 型にはめない

枠にはめない、自由な指導方針

 岡先生講演録「教わり、教え、教えられ」では次のように書いておられます。

私が平尾を指導していた時
 岡先生は私が同志社大学の現役の時(昭和40年頃)から、もうこのような指導をされていました。私も岡先生から、「こうしろ」と言われたことはありません。

 例えば、バックスのディフェンスの出方も、色々言われました。最初は今までやってきていた揃って飛び出すディフェンスで、man to man(それぞれのマークに行く)、Zone difence(地域で守備範囲を決める)、またゆっくり揃えて前に出て、外へ押し出すようにして、最後はタッチラインに押し出す、などです。
 
 シーズンになり一つに決めることになり、man to man で、揃って飛び出すディフェンスに決めたのですが、私だけが結果として、これらの約束事を破るようなプレーになってしまいました。 私の飛び出しが異常に早く、いつも私一人が突出して飛び出している状態です。
 
 常識的にはバックスのディフェンスは揃って一線になって出ることになっています。走るスピードは当時のバックスの選手はほとんど同じです。他の人は揃って一線になることに注意が行くあまり、スピードを8割ぐらいに抑えているからです。私は最初からトップスピードでタックルポイントへ走りこみました。その分いつも他の選手より飛び出していたわけです。
 
 私のやり方は全く常識はずれのめちゃくちゃなやり方ですが、でも岡先生はそれを放置していました。多分、私の飛び出しがプレッシャーとなり、相手のバックスが前に出ることを躊躇していたことがわかっていたからだと思います。

 バックスの最も重要な役割は味方のフォワードを前に走らせることです。相手のバックスが前に出ることを躊躇したということは、その分、味方のフォワードは前に向かってカバーディフェンスに走れると言う事です。
 
 常識はずれの私のメチャクチャなプレイを岡先生は叱ることはありませんでした。