星名理論と岡理論 39 常識やしきたりを全てひっくり返す4

祇園の伝統芸、 手打ち

 同志社ラグビーをして、星名理論、岡理論に触れ、一般社会常識からは大きく外れっていたようですが、たくさんの信頼できる友人に囲まれた普通の人ではできない経験をしたようです。特に、京都の祇園で過ごしたのも幸いでした。

 担当している旅行会社から東京の会社の創立50周年の招待旅行で顧客数百人を京都に招待して記念パーティを提案するのだが、競合になるので力を貸して欲しいと頼まれました。
 記念パーティは有名な歌手を呼びたいとのことでした。
 
 チェーンホテルの新規店オープニングキャンペーンで歌手を連れてイベントを行ったりしていたのですが、これはまかり間違うと、ヤクザとの揉め事になります。
 
 私達が芸能人と商談するときはコマーシャルやイベントなどの出演ですが、ホテルやクラブでのショーへの出演はギャラが特別に高くなり、ヤクザの縄張り争いにも関わってきます。これは通常、芸能人側のプロダクションが、事前に話をつけてある場合が多いのですが、時々もめて、嫌がらせを受けることがあるようです。

 私は歌手を呼ぶ案は最初から提案せず、京都でやるのであれば、祇園の芸妓さん、舞妓さんを沢山呼んで「手打ち」をするべきだと提案しました。
 
 「手打ち」は京都の祇園だけのあまり知られていない名物の一つになっています。 揃いの紋付きの衣裳に頭に笹りんどうの紋のある手拭を細くたたんでのせた芸妓さんが、手に紫檀の拍子木を持ち、それを打ちながら出てきます。そして舞台に上がり、唄を歌い、褒め言葉を言ったりして慶事のある席で披露されるものです。
祇園 手打ち
 手打ちの映像はこちらから

 伊藤のお母さんに相談したところ、「祇園に出入りしている大企業の重役からもこんな依頼は聞いた事が無い。ましてや、祇園に出入りしたことのない東京の中企業の50周年など、誰も相手にしない。しかし、あなたの頼みなら、私が芸妓を集めてあげる」と言って、祇園中の置き屋のおカミさんに直接、電話をして50人ほどの芸妓、舞妓を集めてくれました。50人ほどの芸妓と舞妓を集めると、祇園はほとんど空っぽになるとのことでした。

 広告業界は「義理と金」ですが、祇園には昔ながらの「義理と人情」が残っています。
 私は馬鹿げた一般常識やしきたりは全て無視しますが、古くても良いしきたりは大事にしたいと思っています。