星名理論と岡理論 45 岡先生とのやりとりについて 6

天理戦でのフォワードへのタックル

 私のプレーはチームの決め事を無視するケースが多くありました。これはチームとして決めたプレーが想定した状況とは違う可能性が出てきたときだけです。
 例えば、バックスのディフェンスは揃って一線となって、全力で飛び出そうと決めても、私がいつも一番早く、飛び出していました。

 走るスピードは全員同じぐらいですが、私は本当に全力で飛び出しているのですが、他の選手は揃って一線にすることに意識が行きすぎて、80%位のスピードを全力疾走だと思い込んでいるから私より遅れる訳です。
 
 所が内側の二人が全力で飛び出した時には私は後ろに向かって走っています。これは、内側の二人が本当に全力で飛び出したら、相手の選手はタックルが届くのを恐れて、キックをすることが多いので、キックしたボールが落下する地点を予測して、後ろに向かうからです。

 私はいつも、私よりボールに近い選手(前にいる選手)の動きを見て、自分の動きを決めているだけです。

 相手チームもほとんど高いレベルのチームばかりです。それぞれ鍛えられており、個々の選手の判断力もあるので、私の読みが狂うことはあまりありません。相手のチームは我々の動きに反応します。その状況に合わせて、自分のプレーを選択しています。

 岡先生は私のことを理解してくれていました。そして私のプレーを注視していてくれたみたいです。普通の人では気づかない私のプレーを褒めてくれました。

 4年生の天理大との試合で相手のFWの選手にタックルした時も、タックルしたのが私だと言うことに気づいたのは岡先生だけかもしれません。
4年天理戦

 その時の天理大はFWが結構強く、試合は同志社が勝っていましたが、後半はFWが圧倒されていて連続で3トライされました。更に、ゴール近くまでラックサイドを何度も攻めらました。

 私はその時、アウトサイドセンター(ラックの位置より遠いセンター)だったのですが、このままではラックサイドを突破されトライされると思い、自分のポジションを離れ、ラックに近づいていき、突破される寸前にタックルしてピンチを救いました。
 
 本来私がいる位置ではなかったので、相手がボールをもらった瞬間にタックルをしたので、見ていた人のほとんどが、誰がタックルしたのか分からない、と思いました。このタックルで流れが変わり、また私たちのチームが勢いを取り戻しました。

 でも、岡先生だけはタックルしたのが私だと言うことを見ていてくれました。「浦、お前のタックルで流れが変わった。なんであんな所でタックルできたんだ?」「私は数学は苦手ですが、算数の引き算ぐらいできます。
 相手の自由な選手が3人いて、味方のそれにタックルできる選手が2人だったら、最後は相手が一人多くなるので、ほっとおけばトライされるので、自分のポジションを離れて、FWの近くに走って行ったら、ちょうど相手の選手がボールを持つ所だったので、ボールを受けた瞬間にタックルに入りました」「なるほどな、引き算か」と言って笑っていました。

 この時も、私は私の前(ラックに近い2人の選手)の動きを見て、彼らは自分のマークの選手にタックルに行くつもりだと思い、もし、相手がバックスに回しても、彼らがいれば、トライされることはないと判断して、自分のポジションを離れました。
 私の読みが間違ったとしても、チームに大きな打撃があるとは思いませんでした。