星名理論と岡理論 58 戦略の順序と時間配分 10

民事裁判での本人訴訟。

 刑事裁判はどうか知りませんが、民事裁判では資格のある弁護士に依頼しなくても、原告本人が弁護士なしに訴訟することもできます。1番の問題は証人尋問の時に、尋問してくれる人がいないので、裁判官に尋問してほしい内容を手渡し、尋問してもらい、それに対して証言することになります。

 私は2回、本人訴訟を行い、2回とも和解でしたが、勝訴と同じぐらいの条件で和解しました。裁判の結果は裁判官次第だと言うことを実感しました。
 最初の裁判官は若い女性で、途中で転勤で変わりましたが、次の若い女性の裁判官も公平に審理を進めてくれて、和解をしました。

 2度目の本人訴訟は酷い裁判官に当たりました。若い裁判官で、被告側の弁護士とは同年代の顔馴染みみたいで、誰も傍聴人はいないので、法廷で弁護士と「あの件はどうしますか?」などと、雑談すると言う酷い状態でした。これはもう、勝つ見込み全くないと思い、決定的な証拠の会話の録音テープは控訴用に残しておきました。

 証人尋問もひどいものでした。私が渡している尋問してほしいことは何も聞かず、私の主張を否定するような質問ばかりでした。相手側の証人も私が録音テープを証拠として出していないので、好き勝手に証言していました。当然私の敗訴で判決文も、出鱈目なひどい物でした。

 私はすぐ控訴し、また証人尋問で偽証した相手の担当者を、裁判での彼の偽証で敗訴し、損害を受けたとして損害賠償を求めて、新たに提訴しました。

 1回目の口頭弁論で裁判官と大喧嘩です。
 裁判官が「偽証を争うのであれば、元裁判で一緒に争うべきだ。訴訟を取り下げろ」「裁判官がええかげんだから、新しく訴訟を起こした。それが気に食わないのなら、判決書を書け。判決が不服だったら、当然控訴する」「裁判はこれで結審する」
 初回の口頭弁論で、裁判官と原告が喧嘩をして結審すると言う、おそらく誰も経験したことのないような結末です。これは相手側弁護士には相当インパクトがあったようです。
 こんな気狂いみたいな原告との裁判は早く終わりにしたいと思ったようです。

 最初の裁判の高裁での控訴審の初回の口頭弁論で、高裁の裁判官がいきなり和解を提案してきました。一審の判決文が酷いし、私が決定的な証拠の録音テープがあることを記載してあるし、私の狂気が尋常ではないので、早く決着したいと思ったようで、非常に良い条件が提示されたので、和解となりました。

 この時も岡先生の戦略の実施順序と時間配分の教えは効果的でした。
 ラグビーの80分間の勝負で、前半は点数には拘らず、後半の勝負に向けての布石となるようなプレーを沢山しておき、勝負時に自分達の得意なプレー全て出す、と言うものです。
岡先生 グランドの写真

 地裁の裁判官の酷さを初回から感じていたので、今回は高裁で勝負と決めていました。だから決定的な証拠は地裁では提出していません。最初の女性が裁判官の時には勝負時は証人尋問の時、と決めていたので、それが決め手となりました。今回は地裁の酷い裁判官に証拠を提出しても、負けることは決まっているので、決め手の証拠は出しませんでした。
 
 決め手となる証拠は出していないので、地裁の裁判官は証拠がないので、控訴はしないだろうと思ったのか、酷い判決文を書いていました。結果的には、全て私の読み通りに展開し、和解ですがほぼ想定通りの結果でした。

 30年ほど前の話ですが、今の日本の司法はあの時以上に腐り切っていると思っています。
 一人一人がもっと声を上げることが必要だと思っています。