星名理論と岡理論 60 受動的思考から主体的思考へ 2

受動的な思考のイメージトレーニン

 私は同志社高校に入り、初めてラグビーボールを触りました。中学まで何もスポーツはしたことがなく、父がラグビーをしていたため、一緒にテレビを2−3度見たことがあるだけで、ラグビーのことは何も知りませんでした。
 他の選手は全員、同志社中学からラグビーをしていて、15人しかいない選手で、私はただ一人のポジションさえ決めてもらえない補欠の選手でした。試合になると15人必要なため、体を壊して練習をしていない、マネージャーが試合に出ていました。

 そんな私が3月に日本選手権で社会人を破って優勝し、日本一になった同志社大学の1年生の時のシーズンから、世界のラグビーのレジェンドの当時4年生の坂田さんとコンビを組んで試合に出るほど、急成長したのはイメージトレーニングにあります。

 体力は急成長するわけもなく、練習についていくのが精一杯だったのですが、寝る前に毎日、アタックの時に相手を抜くにはどの様にしたらよいか、イメージトレーニングを繰り返しました。

 その時のイメージトレーニングは受動的なもので、敵のディフェンスがどの様に出てきたら、どの様にしてそれを躱すか、躱して突破したら、どの様なコースを走り、フォローしてきた味方の選手にどのようにパスをして繋ぐか、そればかりでした。
 イメージしたことを実際の試合や練習で試し、さらにそれを見直すことばかりしていました。
 毎日イメージトレーニングを繰り返していたので、大学の1年生の頃には、受けた瞬間にタックルされることはほとんどなく、その後の走りとパスのタイミングもイメージトレーニングとあまり狂うことはありませんでした。

 でも、これらは全て受動的な思考からくるもので、相手の動きにどう合わせるかが焦点で主体的な思考ではありませんでした。

  大学2年生の春、星名先生と出会いました。
星名先生一人
 星名先生の教えは、全く真逆の発想でした。「相手の動きに合わせるのではなく、自分の動きに相手に合わせさせる」という主体的なものでした。
 天動説の時代に全く真逆の地動説を初めて聞いた様な驚きでした。

 タックルにくるのは相手なので、相手の出方を予測できたとしても、相手が私の予測通りに動いてくれるかは、相手次第で、私にはそれがコントロールできないと思っていました。
 しかし、ルールをよく理解すれば、相手をコントロールすることも可能なことを教えてもらいました。

自分で考え、責任を持つ
 上は 岡先生 「教わり、教え、教えられ」より

 その主体的思考の方法とは?