ラグビーをする連中の性格 5-2

 ラグビーをする輩は私と同様で大雑把でいい加減な性格が多い様です。少し良い言葉で言い直すと、「寛容で柔軟性がある」とか「他の人の価値観と多様性を認める」とも言えるのではないかと思います。

 前回はバックスについて話をしたので、今回はフォワードについて話してみます。

  ラグビーを代表するプレーはスクラムだと思います。よく「力を合わせる」という意味で「スクラムを組んで」と表現されることがあります。その通りでスクラムは力を合わせることが必要です。

 スクラムは8人の力を最前列の3人に集中させ押し合います。最前列の3人のうち、一人強い選手がいてもその選手は他の二人にその力を合わせなければなりません。その選手だけが相手より強くて押し勝ってもスクラムが回るだけで、組み直しを命じられるからです。

 でも押す気がなくて、押されるのを防ぐだけの時はその強い選手が頑張れば、スクラムが回ることになるので、組み直しを命じられるので、押されることはありません。試合中はこの様な駆け引きが行われている様です。

 フォワードの8人の選手には、背の高い人、太った人、腕力の強い人、下半身の足腰の強い人、首が太くて強い人など様々です。これらの人の身体的な特徴を勘案しながら、スクラムラインアウトやラックを戦うわけです。8人の選手の総合力を引き出すために、全員の力を合わせ、個々の強さを強調することが自然に身についていきます。

 さらに試合ではバックスの選手7人を合わせ、15人で、両チーム30人の選手が入り乱れて、ぶつかり合い、ボールを奪い合うので、チャンスがピンチに急変したり、変化が常態の中で、選手相互が影響し合い、依存し合いながら一つのチームとして試合を続けて、成長していきます。

 この様な経験を続けていると自然に「寛容で柔軟性がある」とか「他の人の価値観と多様性を認める」などの性格が出来上がってくると思われます。

 私は高校1年生の入学時には身長は167センチ、体重49キロと痩せて、ガリガリで全く使い物になりませんでした。同志社高校は選手が15人しかいなくて、それまで何もスポーツをしたことのない私はただ一人のポジションさえ決めてもらえない補欠の選手でした。試合になると体を壊して練習をしていない3年生のマネージャーが試合に出ていました。

 フォワードとバックスが分かれて練習する時にはバックで練習しているのですが、スクラムを組む時だけ呼ばれて、スクラムの台として一緒にスクラムを組んでいました。スクラムの辛さは人一倍わかっているので、フォワードの選手の忍耐力の強さには敬意を持っています。

 岡先生が監督の時代の同志社大学の夏合宿のフォワードの練習の激しさは伝説の様です。毎日の激しいスクラムで最前列の選手の耳は軟骨が潰れ貝柱の様に腫れ上がり、首の後ろは皮膚が擦り切れて出血し、朝起きると出血が枕について固まり、起き上がると首に枕が着いてきた、という程です。

岡先生 グランドの写真
スクラムを組む」「力を合わせる」ということは痛みを伴うこともあるということを知るべきだと思っています。