ラグビーをする連中の性格 9 アルゼンチン人のラグビーコーチ

 ラグビーをする輩は私と同様に大雑把でいい加減です。また多くは私と同様照れ屋でなかなか素直なタイプではありません。 でも、素直で熱い男もいます。
 
 2006年8月ドイツバーのオーナー、ジャーマンから電話をもらい話があるので店に来てくれとの事でした。ジャーマンはシッチェスラグビークラブのマネージャーのような立場にあるようです。
 
 彼の店に行くとアルゼンチン人のシャンティを紹介されました。彼は9月からカデテス(15歳−17歳の選手)のヘッドコーチになったそうで、6月1日の若手の練習のタッチラグビーで、私が相手をかわして2トライしたのを見て、ビックリしたそうです。

 2006年6月1日、ベテラン数人で若手の練習に参加しました。2005年12月に20年ぶりにラグビーを再開し、初めて練習に参加して、半年間で練習が4回、アンドラに遠征が1回とラグビーボールに触ったのはその時まで5回だけです。

 2週間後の6月17日にシッチェスでビーチラグビー(7人制)の国際大会があるので、それに向けてか1時間以上、休みなしで走り続けのタッチラグビーでした。
 練習に参加するのはこれが5回目ですが、個人的にはほぼ毎日走り込んでいるので体調も良く、スピードも少し出る様になっていました。

 幸いにも前日の雨でいつもは砂地で走りにくいグランドが固く締まっていて、私にとっては非常に走りやすいグランドでした。また若手の速いテンポの展開が私のリズムにあったのか、この日二つのトライをしました。
 この頃にはもう若手も私が60歳である事は皆知っているみたいで、私がボールを持つたびにスージーと言って声援してくれます。寿司からきたスーシーとユージと合わさったようですが、どうも彼らにとってユージよりはスージーの方が語呂が良く、呼びやすいようです。

 その中で一人だけ、私の事を全く知らなかったアルゼンチン人のシャンティがいました。彼は膝を痛めて走る事が出来ず、またスペインの電話会社テレフォニカで働いており、忙しくて来る時間がなかったので私の事は全く知らなかったそうです。

シャンティ

シャンティです。非常に素直で熱い男です。

 シャンティは相手選手に全く触られる事なく抜いて二つトライをした私のプレーを見てビックリしたそうです。7人制の大会へ向けての練習で1軍の選手が大半のタッチラグビーで、皆真剣にやっているのでそう簡単にトライは出来るはずがないのに、全く見た事のない選手が簡単に抜いてトライを二つもしたので驚いたそうです。

 シャンティは私と話をしようとして練習が終わった後探したそうですが、私はいつも練習が終わると、クーリングダウンを兼ねてシャワーを浴びずにそのまま歩いて帰るので話が出来なかったとのことです。シャンティは英語が話せないし、私はスペイン語が話せないので、ジャーマンが通訳しながらの初対面でした。

 シャンティは非常に素直で、熱い男のようで好感が持てました。彼は初めて私のプレーを見た時、てっきり若手の新人だと思っていたら、ベテランの選手で、しかも60歳と言うのを聞いて、Aチームのメンバーも入っていた練習で、60歳で2トライをした、あのようなプレイが出来るのは相当高い技術を持っているのではないかと思ったとの事です。

 他に数人コーチがいるので一緒にやってほしいとの事でした。こちらでラグビーを教えるのも夢の一つだったのですが、急にそれが叶うことになりました。