星名理論と岡理論 19 ラグビーは自由と変化が基本3

ラグビーには自由な発想が必要
 ラグビーは変化が基本
 ラグビーは自由で変化が基本2の続きです。

 ボールを持って歩いたのは大学2年の終わり、ニュージーランドに遠征した時です。
 相手陣10メート ル付近で相手ボールのラインアウトのディフェンスで、受けた瞬間タックルに入ろうと思いきり飛び出した所、相手のセンターがノッコン(ボールを前に落とす)したボールが胸に飛び込んで来てすれ違いに相手のラインの裏側にボールを持って出てしまいました。

 前を見るとかなり先にフルバックが一人いただけで右が大きく空いていました。二つのオプションが頭に浮かびました。一つは自分でステップでかわしてトライをする、もう一つは多分フォローにくるであろうFWにパスをしてトライさせる。

 自分でトライする自信はあったのですが、確実にフルバックをかわそうとすると少し手前でステップを切ることになるので、そのときトライは右隅になる。フルバックを私に引きつけてフォローしてくるであろうFWにトライをさせれば中央にトライできる。

 FWにトライをさせようと決めた途端、突然歩くことが頭に浮かびました。その時、まだFWの選手がフォローしてくていることが確認できていなかったので、そのままフルバックに向かって全力で走り続けるとパスをする時に立ち止まってパスをしなくてはならず、全力で走って来る選手に立ち止まってパスをすると、緩いパスでも非常に強く感じてノッコン(前にボールを落とす)になる可能性が強いと思ったからです。

 それで歩きながら後ろを見てフランカーが走って来ているのを確認し、そのフランカーがトップスピードで私のパスが真横で受けられるようになるのを確認し、トップスピードでフルバックの左側に向かって走り、フルバックを十分引きつけて右に来たフランカーにパスをし、フランカーゴールポスト真下にトライしました。

 普通、後ろに向かって走る、ボールを持って歩いて時間を稼ぐ、寝転がってタックルをかわす、等思い浮かびません。しかし、そうすることが最善のプレーであることが実際にある訳です。
 この様に考えるとラグビーではプレーのオプションは自由なので、無数に考えられます。その無数のオプションの中から唯一無二のプレーを選び実践する訳です。
 
 そしてボールがパスされることにより、次の人にそのオプションの選択はゆだねられます。