星名理論と岡理論 23  岡先生の選手起用方針

 最強の選手15人で戦う

形のないのが同志社の形

 岡先生の選手起用方針にも個性や自分の直感を元に、独自の考え方をお持ちのようでした。

 まず、選手の高校の時のポジションや体格は全く関係ない。現在の選手の中で、最強のメンバーを最適のポジションで15人試合に出させたいとの考えをお持ちのようでした。当時のルールではけが人が出ても選手交代はできなかったので、これも当然だと思いました。

 例えば、フォワード(FW)とバックスを見比べれると、当時の同志社はFWに優秀な選手が多いようでした。FWに10人の優秀な選手がいるのに、試合ではFWに8人しか出せないのであれば、残りの二人をバックスの選手として、試合に出させる。

 それもその選手の卒業後のことも視野に入れて、バックスの経験をさせたいとのことでした。

 私が2年生で初めて星名先生の指導を受けた時、同期でフォワードの第3列の石塚を私の横のセンターにしました。彼は同志社が全国制覇した時のナンバ−8の石塚(日本代表の主将)さんの弟で、私と一緒に1年生の時から試合に出ていて、前年度の4年生が4人も卒業したフォワードの中心選手でした。

私は岡先生のその理由を聞きました。

岡先生 グランドの写真「チーム全体を見ると、FWに良い選手が多い。石塚は足も速いし、ラグビーセンスも良い。何よりフォワードの選手なので、ラックなどの球の処理が抜群だし、彼がバックスにいるとフォワードの選手が一人多いので、ラックなども有利に戦える。彼は将来FWに戻ることになるが、バックスでお前とコンビを組んだ経験は彼のプレーを格段に進歩させられる」とのことで、納得しました。

 石塚は結局、同志社では最後まで私とコンビを組んでセンターでしたが、新日鉄釜石に入ると、今度はナンバー8に戻って活躍していました。

 岡先生の記事 「フランスの金髪のラグビー選手」の話はこちらから