星名理論と岡理論 72 岡理論の戦略とPERTの類似性

 卒業直後に企業の研修でPERTの存在を知りました。岡先生のAアタックと似通っていると思い、興味を持ち、少し勉強しました。
岡先生 グランドの写真
 PERTとは、プロジェクトの工程管理の手法の一つで、各工程の依存関係を図示して所要期間を見積もったり、重要な工程を見極めたりする手法です。1950年代に米海軍で弾道ミサイル開発プロジェクトのために考案された手法とのことです。現在は大規模工事やコンピュータのプログラムの開発などに使われている様です。

 PERTでは各工程を「前の工程が終わらないと次の工程が始められない」という依存関係に従って矢印で繋いでいき、それぞれの工程には所要時間を記入していきます。

 私がラグビーの大学選手権の日大戦で「後半開始後、20分間までにAアタックでフォワード戦を中心に戦い、日大フォワードの体力を消耗させてしまっておく」完了形を意識して勝利してからは、全ての事に完了形を意識する様になりました。

 あれこれ色々考える前に、直感的に思いついたら、とりあえず、実行して、完了させておく、という非常に乱暴なものですが、ラグビーでは非常に役に立ちました。
 
 昔の古い歌、美空ひばりが歌っていた「柔(やわら)」の一節だったと思いますが、「口で言うより手の方が早い、バカを相手の時じゃない」と言うのがありますが、私の場合、思った瞬間に手だけではなく、体全体を動かしている、大馬鹿でした。

 大学4年生の時の関西大学リーグの天理戦での相手フォワードにタックルをした時も、本来私が立っている位置はラックからだいぶ離れていた場所でした。でも、相手のFWに勢いがあり、生きている選手の数が多かったので、私はすぐ自分のポジションを離れ、ラックに向かって走りました。
 ちょうどラックの近くまで来た時、相手のフォワードの選手にタックルする味方の選手がいなくなりましたが、相手の選手がボールを受けた瞬間にタックルに入ることができました。

 この時も私がラックの近くまで、既に走り込んでいた、と言う完了形であったからできたことで、ピンチになったらタックルに行こうという、未来形では相手の選手が受けた瞬間にタックルに入ることはできませんでした。