星名理論と岡理論 83 主体的思考による環境の最適化 2

受動的思考からの脱却

 星名理論と岡理論の考え方についてを端的に表す言葉として「主体的思考による環境の最適化」という言葉を使いました。

  ラグビーは本質的には地域を取り合うゲームですので、少しでも前へ(相手のゴールラインに向かって)出ると言うことが非常に重要なことです。

 ルールでスローフォワード(前方にパスはできない)、オフサイド(ボールを持っている選手より前の選手はプレーできない)があるので、味方のフォワードはスクラムラインアウト、ラックなどでボールを奪取し、バックスに提供した段階で、味方のバックスが自分達より前の場所にボールを持って走り込むまでプレーに参加できません。

 私がラグビーの試合でやっていたことは「相手の出方に合わせて、突破するポイントを出来るだけ前(相手に近い所)にする」と言う、受動的な思考でした。その思考の元では、突破する以外、相手との中間点(想定されるタックルポイント)より前方に走り込む事はなかなかできませんでした。

星名理論の概念図1

 ところが星名先生は、ボールを受ける前に中間点(想定されるタックルポイント)に入り込めば、私はまだボールを持っていないので、相手の選手は私にタックルすることができず(ノーボールタックルは禁止)、私がボールを受けるのを立ち止まって待つしかない」と言う、真逆の考え方を教えていただきました。
星名理論 概念図 2 新

 突破に失敗しても中間点は超えることができるということです。
 これはルールをよく理解して、「ボールを持っていない時の動きで、私の方でタックルポイント決めることができる」と言う主体的な思考となり、初めて可能になるものでした。

 これにより、想定されるタックルポイントを相手側に押し込むことになり、簡単にフォワードのオフサイドを解消して、試合を有利に進めることができることになります。

 言い換えると、フォワード(チーム)が有利に戦える、環境を作り出すことになります。

 この様に図で示し、説明すると簡単なことの様に思いますが、受動的思考の元では全く考えられないことで、同志社大学の2年生の時、星名先生が私に教えてくださったのが、もう50年以上前のことですが、未だにこの様なプレーをする選手やチームは見当たりません。

 主体的思考になってから、初めて理解できるものです。

 この様に考えて、「主体的思考による環境の最適化」をキーとなるフレーズに決めました。
 主体的思考がどれほど重要な事か考えていきたいと思います。