ラグビーをする連中の性格 7 スペイン人でラグビーをする医者 1

 ラグビーをする輩や私と同様に大雑把でいい加減です。でも、もちろん例外もいます。スペイン人でラグビーをしている医者は大雑把でいい加減という表現は良くないかもしれません。彼の場合は「寛容で柔軟性がある」とか「他の人の価値観と多様性を認める」と言った方が良いと思います。

 彼はベテランチームの選手でしたが、外科医でもありました。ラグビーの試合にはいつも手術道具を持参し、怪我人が出るとその場で治療することもありました。年齢は私が初めて会った時には40歳前後だったと思いますが、シッチェスで行われたビーチラグビーの大会には選手として出場していました。

 彼はFWの選手でゲームでは相当激しくぶつかったり、スクラムを組んだりしています。ところがケガ人が出るとゲームから外れて怪我人の治療に当たります。
 ラグビーの怪我で良くある裂傷などを針で縫ったりしています。ビーチの横のテントの中で目の上の辺りの裂傷で血を流している泥だらけ選手を、同じ様な泥だらけのラグビーのジャージを着た人がそこを縫っている光景は普通の人が見たらビックリします。そして治療が終わるとラモンはまたラグビーのゲームに参加します。

 ラモンはラグビーの選手としても素晴らしいセンスを持っています。
 私がシッチェスで初めて試合をした時、私は試合に出たかったのですが、選手が15人以上いたので、先に所属していた選手が試合に出た方が良いと思い、試合は出ないことにしていました。
 ところがフィリップが私にセンターをさせるために、自分が後半開始早々、私に代わりに出ろと言って、グランドから出ました。センターの位置に入ろうとしましたが、それまでウイングをしていた選手がセンターの位置に入ったので、その人の代わりにウイングに入りました。
 ところがセンターに入った選手は自分がボールを持って突進するだけで、パスをしないのでボールに触ることもできませんでした。

 このままでは面白くないので、ラックの時、センターのポジションに入り、2度ボールを触り、2度ともトライに結びつけました。
  これは私が最初に立っているポジションが非常に浅く(敵に近く)、受けた瞬間にはもう半分抜いているので、私がパスをすれば、パスを受けた人がそのまま前に走り、トライになったものです。

 終盤に2度アタックに参加して、それが二つともトライに結びついたことを、「Yujiはすごい、2度ボールを持って、2度ともトライに結びつけた」と言って、私のプレーを見抜いたのは彼だけです。
 他の人にはただパスをしただけのように見えるので、たまたま、私がパスをしたのがトライになっただけだと思っている様です。
ラモン2 j
左から2番目がラモン、3番目がフィリップ、4番目がカール

 ラモンはシッチェスラグビークラブにとって宝の様な存在です。