私はコーチとしては不適格

 スペインに来て2年ほどでラグビーを始めて、それから半年ほどで成り行きでカデテス(15歳−17歳の選手)のコーチになってしまいましたが、スペイン語がもう少し話せる様になるまで、待つべきでした。

 1年でコーチを解任されました。理由を聞くと、「大声を出して指導しないから。ほとんど休むこともなく練習に参加しながら、ほとんど黙っていて見ているだけ」という事でした。

 別に黙ってみたいるだけ、という訳ではないのですが、選手の特性を活かして指導していたのですが。シャンティは私のことを信頼していてくれたみたいで、彼もヘッドコーチを辞任しました。

 カデテスのコーチ就任にあたり、私はヘッドコーチのシャンティに英語でメールを送りました 子供達は数人(アイルランド人、イギリス人)は完璧に英語を話しますが、ほとんどはスペイン語とカタラン語で、私はスペイン語はほとんど話せませんでした。シャンティはあまり英語が得意でないし、また他の二人のコーチはほとんど英語を話しません。

 そのためスタートする前に、どのようなコーチングをしたら良いのか、ラグビーに対する考え方、コーチングの仕方等自分の考えをまとめて擦り合わせをしたかったからです。

 良くある事ですが、複数のコーチが教える時、考え方、話す言葉等を事前に良く打ち合わせして統一しておかないと、同じ事を違う言葉で伝えると、選手が迷う時があります。

 シャンティからはなかなか返事がないので、グランドであった時に聞いた所、「素晴らしい考え方だ」と言ったきりでした。別に怒っている訳でもないし、真面目な素晴らしい男である事は分かっていたので、私の英語がまずく、うまく理解できなかったのかなと思っていました。

 練習が続いていくとその理由が分かりました。そのようなラグビー理論を伝えるほどのレベルではないと思っていたのでしょう。数回目の練習には時間までに来たのは3名でした。

 それでも遅れて来た数名と、下のクラスの練習が終わって、カデテスの練習に参加した選手10名ほどでいつも通り練習を行いました。

 コーチングには言葉が重要と言うことはわかっていましたが、私の場合、言葉の問題より、指導方針の考え方に差があった様に感じます。

 岡先生のコーチングは次のとおりです。

私が平尾を指導していた時

私の教え方も同様で、大声で怒鳴りつけて、型にはめるようなものではなかっただけのことです。

 でも、私がコーチングには言葉が重要なことがわかっていながら、コーチを引き受けたのは私の間違いだったと思っています。